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学芸員のこれ推し!№1~『幕末の柳島に生きる』より

2023.6.10~12.31
学芸員のブログ
茅ヶ崎市博物館では、4月29日から7月9日にかけて「幕末の柳島に生きる」を開催しています。本展の企画・展示にかかわった学芸員が、「これ推し!」を、週替わりでお伝えしていきます。
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藤間柳庵没後140年企画展
「幕末の柳島に生きる」

幕末の柳島に生きた藤間柳庵は多彩な顔を持っていました。今年はその柳庵没後140年の節目にあたります。本展では「かながわの100人」にも選ばれている藤間柳庵の足跡やゆかりの品々、藤間家に残された調度品のほか、民俗資料館 旧藤間家住宅で見られる柳島の自然をご紹介しています。
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トップバッターは『藤間家の文化財』と関連イベントを担当した佐藤学芸員!
柳庵は、藤間家の当主として名主を務めるとともに、家業の廻船業を営みつつ、書、俳句や狂歌などの文化的活動を精力的に行っていました。そんな柳庵が村人のために考案し、版木を作り、刷って配布したといわれている守り札「家内安全火乃用心」が・・おしゃれなんです。江戸文化に親しんだ文人柳庵だからこそ、思いついたデザイン!八字とも、宝物をかたどった絵文字ですが、特に「内」。イチオシです。早速みていきましょう!



『家内安全火乃用心』守り札版木刷り物

家/宝物の隠れ蓑。

内/女の人の顔。子どもを産み・育てる女の人は宝物。(とはいえ、様々な事情から子を授からない家庭もあったはず。現代でいえば、家のうちを明るくてらす妻は宝物、とも置き換えられそう。)

安/鳥にも見えますが、これは笠。かぶれば身を隠せる宝物の隠れ笠。

全/かねのふくろ(さいふ)は宝物。

火/一見、宇宙人?と思うような絵文字ですが、分銅(秤の重り)です。分銅の形に鋳造した金銀は非常時に貨幣となった宝物。

乃/宝の鍵(宝鑰ほうやく)。

用/打ち出の小槌。

心/宝のたま(宝珠)。

版木が作られた江戸末期は地震も多く、相模地方では飢饉もありました。村民はこの宝尽くしの守り札を家の大黒柱に貼り、災難除けを祈ったとそうです。きっと家の中を明るくてらしたことでしょう。

博物館ではこの絵文字を使ったスタンプラリーを開催中!完成した台紙は切り取って部屋に飾れるようになっています。ぜひ挑戦してくださいね。
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