事業の概要・スケジュール
事業の概要
(1)現資料館の沿革
昭和40年代の初頭、地域開発の進展、生活様式の変化などにより危機に瀕している文化財、各種郷土資料の保護・保存の必要性が叫ばれていた中、市内在住の篤志家から茅ヶ崎市に1,000万円の寄付がありました。それをきっかけに、現資料館は地域の歴史を伝える資料を永久に保存する施設として建設され、昭和46年7月1日に開館しました。
開館以来、博物館類似施設*1として、茅ヶ崎を語る上で欠かせない資料の調査・研究や収集・保存、展示、ワークショップ*2の開催などによる教育・普及活動を多くの市民や「文化資料館と活動する会」をはじめとする市民グループと協力して展開してきました。平成27年3月6日には、博物館法(昭和26年法律第285号)第2条に基づく博物館*3として神奈川県教育委員会の登録を受けました。
近年では、児童、生徒、学生の利用も多くあり、文化財保護に関する市民の意識やニーズも高まっています。また、「ちがさき丸ごとふるさと発見博物館事業*4」の中心的な活動拠点としての役割を担っています。しかしながら、施設の老朽化や展示・保管スペースの不足、駐車施設の不備などによるアクセス環境の悪さなどの課題があり、機能拡充による再整備が必要となりました。
なお、現資料館の施設は、新資料館の開館後に解体し、敷地は売却する予定です。
(2) 新資料館整備の方向について
新資料館は、博物館という施設の特色と専門性を生かし、茅ヶ崎の自然と歴史・文化に関する遺産(以下「地域遺産*1」という。)を保全・継承し、活用していくための拠点とします。茅ヶ崎を知り、茅ヶ崎を学び、茅ヶ崎を伝えるとともに、地域づくりや地域課題の解決を支援し、茅ヶ崎の未来を拓く人づくりのための拠点として、市民・利用者のみなさんとともに活動していきます。
新資料館は、社会の高齢化率が高まる中、豊かな長寿社会の実現に向けて、高齢者が培ってこられた知恵と技術を活かしながら次世代へ継承していく場となり、健康でいきいきとしたくらしの実現を支援します。
現資料館は、40年以上にわたり市民と協力しながら活動してきました。収蔵する資料*2の点数は約6万点を数えます。新資料館の整備においては、この資料をはじめとして、現資料館が築いてきた人のつながりや研究成果、ちがさき丸ごとふるさと発見博物館事業との連携体制などを継承し、さらなる発展をめざしていきます。
また、平成27年3月10日、下寺尾官衙遺跡群が国指定史跡となりました。これは、古代地方官衙を構成する諸施設(郡衙・郡寺・船着き場・祭祀場)が比較的狭い範囲に存在し、官衙遺跡の全体像が把握できることから、地方官衙の構造や立地を知る上で重要であると評価されたものです。
下寺尾官衙遺跡群の位置は新資料館の事業予定地に近く、重要な地域遺産として、教育普及の連携を図ります。
(注)
語 | 意味 |
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*1 博物館類似施設 | 博物館と同種の事業を行う施設で、博物館法に基づく登録博物館・博物館相当施設の指定を受けていないもの。 |
*2 ワークショップ | 一般には、空間の名称として工作・修理などを行う作業場のこと。博物館では、館の活動と社会を結びつけるプログラムの一つとして使われる。参加者の主体的な活動や体験を重視し、双方向の学びと創造を行う方法 |
*3 博物館 | 歴史・芸術・民俗・産業・自然科学などに関する資料を収集・展示して一般公衆の利用に供し、教養に資する事業を行うとともに資料に関する調査・研究を行う社会教育施設 |
*4 ちがさき丸ごとふるさと発見博物館事業 | 茅ヶ崎市全域を建物のない博物館と見立てて、文化・歴史・自然・産業・商業・公共施設・人材などを抽出し、調査・研究し、それぞれが有する意味や魅力を整理して広く周知する事業 |
(「茅ヶ崎市文化資料館整備基本計画」より)
スケジュール
【主な整備の流れ】
年度 | 内容 |
---|---|
平成26~27年度 | 文化資料館整備基本計画策定 |
平成28年度 |
用地購入 建築基本設計 展示収蔵設計 |
平成29年度 |
用地購入 建築基本設計 展示収蔵設計 駒寄川整備工事(下流域) |
平成30年度 |
用地購入 建築基本設計 展示収蔵設計 駒寄川整備工事(下流域) 駒寄川整備工事(上流域) |
平成31年度/令和元年度 | 建築工事議決・契約 |
令和2年度 |
建築・外構工事(前期) 展示収蔵製作 |
令和3年度 |
建築・外構工事(後期) 展示収蔵製作 |
令和4年度 |
駐車場工事 展示収蔵製作 運営に向けた各種準備 等 |
令和5年度 | 河川管理用通路工事 |
神奈川県市町村振興資金貸付金について
この事業は、神奈川県の競馬事業による収益配分金を活用しています。
『公共施設整備・再編計画(改訂版)』(平成25年3月)
計画の基本的事項
(1)昭和56年以前に建設された公共施設、またはそれ以外でも、同一の敷地内の設置など対象施設との関連が密接な施設や機能の特性により整備が必要なものを検討対象とします。
(2)市民ニーズや施設の利用状況、耐震診断結果、財政状況などを分析し、施設ごとの今後の再整備の方向性を示します。
(3)整備プログラムの見直しを踏まえ、再整備対象施設の事業の実施時期、事業規模、事業費などは再検証後の事項を示します。
(4)再整備事業は、一般財源負担分を「公共施設等再編整備基金」に特定することなく本計画の中で優先順位を明確にし、茅ヶ崎市総合計画実施計画事業として実施します。
(5)整備プログラムの設定時期を前期10年(平成20年度から29年度)、中期3年(平成30年度から32年度)、後期4年(平成33年度から36年度)に変更し、平成29年度までに整備が完了したものを前期、総合計画第4次実施計画期間内を中期、その後の整備プログラムの最終年度の36年度までを後期とします。
(6)基本的に現行の機能のまま継続する施設以外のものについては、施設の複合化・統合・廃止、民間などの施設との複合化を進めます。
(7)公共施設の整備・再編の推進と政策課題の解決のため、市内における未利用の公有地の有効的な利活用の方針を示すとともに、施設を廃止した跡地及び小規模な市有地については、売却を行います。
(8)公共施設の再整備にあたっては、建物の耐久性の向上、バリアフリーや省エネルギー、環境への配慮を行うとともに、トータルコストの削減と市民サービスの向上を目指します。
(9)本計画における各施設データなどについては、平成30年3月末現在の数値を使用しています。
公共施設整備・再編計画(改訂版)open_in_new
整備の経過
(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館の事業地について
整備予定地
(仮称)歴史文化交流館の整備予定地は、大岡越前守の菩提寺である浄見寺の北側とし、公共施設整備・再編計画における「再整備の方針」に基づいて、民俗資料館との一体的管理や下寺尾官衙遺跡群との連携を図ります。
【計画敷地に関する諸条件】
詳細 | |
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区域区分 | 市街化調整区域 |
防火地域 | - |
前面道路(認定幅員) | 6 ~ 11.4m |
敷地面積 | 6,781平方メートル |
容積率 | 100% |
建ぺい率 | 50% |
道路斜線 | 勾配1.25 |
隣地斜線 | 高さ20m,勾配1.25 |
その他関連法令、計画など | ちがさき都市マスタープラン、茅ヶ崎市環境基本計画、茅ヶ崎市みどりの基本計画、茅ヶ崎市のまちづくりにおける手続及び基準等に関する条例、香川まちづくり基本計画、各種ハザードマップ など |
自然や歴史・文化資源をつなぐ拠点施設の整備
整備予定地の近隣には、大岡越前守の菩提寺である浄見寺や市指定重要文化財である旧和田家住宅・旧三橋家住宅があります。また、周辺には大規模な県立公園や大学施設、自然豊かな川や谷やと、下寺尾官衙遺跡群や堤貝塚、十二天古墳などの遺跡が存在します。(仮称)歴史文化交流館は、これらの資源をつなげる拠点となります。
新しい博物館の名称について
現在整備中の新しい博物館については、整備事業の名称を「(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館整備事業」として進めてきたところですが、この度、供用開始後の正式名称について次のとおりご報告します。
名称についての経緯
・平成28年2月に「茅ヶ崎市文化資料館整備基本計画」を策定し、その計画内で、移転後の名称を「茅ヶ崎市博物館」としました。
・整備事業を進めるにあたり、国庫補助(社会資本整備総合交付金・街なみ環境整備事業)を活用しました。その中で、従来の博物館にはない「自然や歴史・文化の学習を通して交流を図る機能を有す施設であること」をわかりやすく伝えるため、事業の名称を「(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館整備事業」とし、平成28年度より用地購入、建設工事などに着手しました。
・事業着手から6年余りが経過し、「(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館」という仮称の浸透に加え、「歴史文化を通じた交流」という施設が持つ機能の周知を図ることができました。
・一方で、新しい博物館は、博物館法に基づく登録博物館として整備されるものでありますが、「(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館」という仮称を引き続き使用すると、「博物館」という施設の本質が伝わりづらくなるという懸念がありました。
正式名称についての考え方
現在までの経緯を踏まえ、新しい博物館の役割と目指す方向性を次のとおり整理しました。
歴史・文化のみならず、自然科学など幅広い分野を対象とした総合的な博物館
未来を担う子どもたちが文化・歴史・自然科学を学習・体験できる教育施設
地域に根差しながら、市内全域のみならず、市域を超えた活動を目指す社会教育施設
正式名称には、これらの役割と目指す方向性を市民の皆様に的確に伝えることが求められると考えます。
また、「茅ヶ崎市美術館」と同様に、市の文化教育の振興に寄与する施設であることを端的かつ明確に表現し、かつ普遍性を持つ「博物館」という言葉を用いることが当該施設の名称にふさわしいと考えます。
以上のことから、供用開始後の施設の正式名称は、「茅ヶ崎市博物館」とすることといたします。
また、正式名称は設置条例内にて規定され、設置条例は令和4年度中の施行を目指しています。
文化資料館の活動について
モノを集める行為=「コレクション」は、人間の「獲得する」という本能に結びついていると言われています。そのモノを集める行為の起原をたどっていくと、旧石器時代(約1万年以上前)に遡(さかのぼ)ることができるとも言われています。博物館の歴史の始まりは、そういった個人のコレクター(収集家)とコレクション(収集品)にあるともいえます。
それでは、博物館がモノを収集して保存することと、個人的なコレクションの違いは何でしょうか?一番の違いは、博物館や美術館は、社会や地域のニーズに応えるために、学術的な研究に基づいて、計画的かつ合理的にモノを収集し、一部の地域のためだけではなく国全体の大切な財産として保存していることです。そして、テーマに沿って収集したモノを、時間やかたち、機能といった特色に応じて展示することにより、新たな価値や感動を生み出すことに繋がります。そして博物館は、モノとそれに含まれる情報を、次世代に伝えるという社会的な役割を担っているのです。
当館が開館した、昭和46(1971)年は高度経済成長期のまっ只中であり、都市化する中で、それまでのくらしが失われていくことが危惧されていました。茅ヶ崎のくらしの記憶を伝えるモノや、情報をできるだけ多く収集し保存することから、文化資料館の活動が始まりました。そして、収集された資料は、かたちや寸法、製作時期、使用方法などの細かなデータともに保存されています。
このような調査・研究に基づいて、収集された資料は5万点を超えます。市民の方から寄贈されたくらしの資料や、ボランティアの方々と協力して採取した自然資料、埋蔵文化財の調査等で発掘された考古資料、その他、書籍や写真など多岐にわたる資料を保存し、市民参加型の資料整理活動を展開しています。また、それらの資料を、様々なワークショップや展示会にも活用しています。また、小・中学校、高校、大学の授業において、資料の貸出や紹介を行い、学校教育への協力にも努めています。
当館で収蔵する資料は、国立や県立の大規模な博物館が持っているようなものばかりではありません。しかし、茅ヶ崎というまちの人々のくらしの記憶や思い出といった、小さいけれども確かで、かけがえのない宝ものたちです。このようなまちの宝ものを守り伝えながら、過去と現在、そして未来につなげていくことが、文化資料館の使命であると考えています。
文化資料館は、(仮称)歴史文化交流館への移転準備のため、令和3年4月1日より休館しております。
建築設計・工事
施設の老朽化や耐震性等に課題があることから、「公共施設整備・再編計画」(平成25 年3 月)において市北部にその機能を移転し、整備することが位置づけられている文化資料館について「茅ヶ崎市文化資料館整備基本計画」(平成28 年2 月)に基づき、(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館(以下「交流館」という。)を整備します。
この度、交流館の建設及び展示収蔵の実施設計が完了しましたのでご報告します。
建設及び展示収蔵実施設計図
【建設概要』
計画地 : 茅ヶ崎市堤3786 番外
敷地面積 : 6608.61 平方メートル
用途地域 : 市街化調整区域
防火地域 : 22 条区域
高度地区 : 指定なし
用途 : 博物館
構造/階数: S造/2 階建
地盤高さ : GL=TP+11.2
建物高さ : 9.950m
建築面積 : 2,086.38 平方メートル
建蔽率 : 31.57%
延床面積 : 2,057.18 平方メートル
容積率 : 31.12%
駐車台数 : 一般車両/21 台、車いす利用者用/1 台、バス専用/4 台 バイク/6 台
駐輪台数 : 36 台(平置き)
外観および内観イメージ図
(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館の外観および内観のイメージ図です。
(注)設計段階のものですので、今後変更となる場合がございます。
picture_as_pdf 外観イメージ図 (PDF 900.9KB)
picture_as_pdf 配置図・立面図・断面図 (PDF 1.1MB)
picture_as_pdf 展示イメージ図・周辺ゾーニング図 (PDF 1.6MB)
スケジュール(予定)
令和4 (2022)年度中の開館に向けて、次のとおり事業に取り組んで参ります。
また、旧和田家住宅・旧三橋家住宅改修及び隣接地の広場等整備事業、交流館の管理運営方法や体制について検討を進めます。
(注)文化資料館は、平成33 年3 月末の閉館を予定しております。
展示収蔵設計・製作
展示収蔵設計
(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館は、博物館法に基づく登録博物館として整備を進めています。
(仮称)茅ヶ崎市歴史文化交流館は、社会教育法および博物館法に基づき、茅ヶ崎の自然や歴史、文化について、市民と協力して調査・研究を行い、資料を収集・保管し、展示またはワークショップ等をとおして社会教育を推進する博物館施設です。
博物館には、資料の「展示」や「保管」を行うための展示室や収蔵庫が必要です。これらを設計するため、(仮称)歴史文化交流館展示収蔵設計業務においては、指名競争入札により業務受託者を決定・契約し、平成28年10月より展示収蔵設計を行い、平成30年11月に完了しました。
【事業者名】
株式会社 丹青社
【設計スケジュール】 | |
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平成28年10月~平成30年11月 | 基本及び詳細設計 |